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【Travel】 A holiday of life (1/3)

■2008年6月29日(日)午前4時


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しとしとと降り続く雨がシアンブルーの景色に音を与え、ヘッドライトに照らされた路面の艶が眩しい朝。
テレビの天気予報も今日一日が雨である事を報じている。窓から見える東京の中心部の空には低い雲が立ち込めており、
低い気温も手伝って室内の暖かさの感覚を際立たせている。

湯気の立つコーヒーを早朝に軽くすすり、一服を終えたのちに湯葉兄はわずかな眠りへと落ちていった。


■同日午後12時30分


おもむろにリビングへ足を伸ばし冷蔵庫にあった冷たい水を飲みながら、いまだ止んでいない雨に目をやる。
低い雲は更に低く、そして分厚く東京の空を覆っている。・・・足を成田へ向けるときは雨が多いよなぁ、
と半ば諦めつつ、まぁどうせ雲を突き抜ければ関係ないし・・・と出発時の雨をなんとなく歓迎している自分
にも気づく。強引に休みを取り、2泊4日で湯葉兄は旅に出る。


行き先は東南アジアのとある都市。昨今の欧米ツアーを考えるとなかなかイレギュラーな選択。


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なんだかんだ荷物をまとめたり、テレビを見たり、カメラの準備をするうちに時間が経過してしまい、
想定出発時刻をとうに過ぎた午後2時半過ぎに自宅に鍵をかけ駐車場へ歩いてゆく。雨がそぼ降る中、
RIMOWAのキャリーと最近手に入れたアルティザン&アーティストのトート型カメラバッグが今回の旅のお供。
びっしょり濡れたRIMOWAがなんとも「きれいねー」な感覚はジェットセッター特有の感情なのだろうか。
ある程度使い込まれて、ある程度過酷な環境で見るキャリーバッグってのはとってもセクシーに見える。


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道中は特段の渋滞もなく、平和なペースでM3 Cabrioletを走らせたら40分ほどで成田空港の駐車場から
荷物を取り出している湯葉兄の出来上がり。さっさとStar Alliance GOLDのカウンターでチェックインを済ませ、
必要な小道具、ガイドブックなどを購入した後に向かうは「湯葉兄が海外へ出かけるときのお約束」である「ROYALのパンケーキ」タイム。
この前のプラハ行きでは「品切れ」という前代未聞の惨事に襲われていたが、今回は無事登場。
美味しく頂いた後にカレンシーをドルに交換して、いつもどおりのプライオリティーセキュリティーを通過してイミグレへ。
夕方便だからかかなり空いているイミグレも特にドラマはなく通過し、そのままラウンジへ入って一服をする。


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ラウンジから見えるエプロンもじっとりと雨が降り注ぎ、シーリングの低い雲が立ち込めている。
目の前には今日これから乗ってゆくNH931便、Boeing 767-300ERが濡れながら駐機している。
まずは駐機中の機体でも・・・とカメラを傾けると突如振動を始める携帯電話。


RIU氏:「湯葉ちゃん、今どこ?」
湯葉:「今ラウンジっす。」
RIU氏:「アチャー!ゲートきてもうた。」
湯葉:「もうそろそろ行きますよ、降りましょうか?」
RIU氏:「間に合えば!」


と、電話の主は本日の931便のPIC(Pilot in Command)であり、PF(Pilot Flying)でもある、
要するに「機長さん」(だいぶ大雑把な説明だが)であるRIU氏。
湯葉日記では「Ground Effect Racing」でお馴染みの氏である。・・・もっと分かりやすく言えば、
今回の旅はこのRIU氏のフライトに密着(というか相乗り)し、現地で美味いもの食べまくろう企画。
・・・結局ボーディング前には搭乗案内が開始されてしまい忙しくなったRIUさんには会えずに、おいらも優先搭乗で乗り込んでゆく。


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・・・でも今回はエコよ(苦笑)


国際線ではかなり久しぶりに乗るエコ。別にキライじゃないから全然嫌じゃない。
グランドスタッフの配慮により隣の席を空席にしてもらったので、空間には余裕あるしね♪


丁度翼がよく見える座席に座り、CAさんからのご挨拶などを受けながら待つ事しばし。
定刻より15分程遅れてしまった931便は無事に日本時間の18:50にプッシュバックを開始する。しばらく押し戻された後に右、左の順番でエンジンが始動し、いつもの飛行機の旅が始まるワクワク感が機内を支配する。なんとも安定したアイドリングの音を聞きながら同56分、機はタクシーアウトし本日のテイクオフランウェイである34Lへゆっくりとその足を進めて行く。

先行するJALのBoeing 747-400が轟音と共に水幕と薄暮れの低い雲の中に消えて行った頃、NH931もランウェイセンターにアライン。フルブレーキのままスラスト(車でいうアクセル)を全開にし、ブルブルと機体が震えたかと思ったらスルッとブレーキが外れ猛烈な離陸滑走が始まる。・・・長めの滑走の後、19時09分全てのタイヤが地面から離れついに6時間に渡る空の旅が始まった。


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機は順調に上昇し、どう考えても揺れる雲の中を上手にルートを切り開きほとんど揺れずに進んでいる。あとで聞けば先行するJALとまったく違うルートで上昇したそうで、この辺はパイロットのセンスがわかれる所か。・・・シートベルトサインが消えるといつも通りドリンクのサービスが始まる。国際線はコーラが出しやすい場所に積んであるのでオーダーしても「チッ」って顔をされにくい。国内線はあまりコーラが出ない前提なので、頼むと運が悪ければ嫌〜な顔されるのでご注意を(や、別に飲みたい時は頼むけど)。オリンピック仕様になったコーラを飲みながら暮れ行く日本の空を眺める。

今日の天気の地上では絶対に見る事の出来ない夕日だが、我々はもう雲の上に来てしまっているので、美しい夕暮れをくぐもった雲に上下を挟まれながらも見る事が出来る。機体はもう大阪の沖をクルージング用の高度に達して水平飛行で西へ向かっている。


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ドリンクに続いて夕食が登場。久しぶりの「エコメシ」。食べやすさや判りやすい味でなかなか好きなんだが、本日の湯葉兄は「魚介のトマトソース煮、サフランライス添え」をチョイス。みた感じは本当にティピカルなエコ飯だなぁ、と(笑)。お味の方は記憶していた感じよりやや薄味?チキンのサラダの方をピクルスと一緒にバクバク食べ、あっという間に完食。機内って不思議に食欲が湧くから機内食っていつも食べ過ぎちゃう気がする。

コーヒーを待ってチョコレートケーキを一気に胃にしまい込んで本日のご飯は終了。
ビジネスやファーストの様にゆっくり食事をする楽しみはないけど、別に必要十分なご飯が出てると思う。


いや、エコメシ万歳!旅はエコメシと共にあらんっ!


なのである(国際エコメシ愛好家協会、専務理事湯葉氏談)。
・・・コーヒーのお代わりを貰いながら映画を見る為に自席の「AVOD(Audio Video On Demand)」に手を伸ばす。
機体は順調に高度38,000ft(約11,600m)で鹿児島上空を飛行している。


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機内は全消灯しナイトモード。途中差し入れでクルーからもらったチョコレートをポリポリ食べながら、窓の外がフイに明るくなった気がしたので目をやると・・・そこには雲の形が浮き上がる程の強烈な稲光。

空いている隣席の付けっぱなしにしておいたスカイマップに目をやるとどうやら台湾上空、カオシュンに向かっての飛行中。今頃カオシュンはとんでもないサンダストームに襲われているのだろう。サンダストームを伴った積乱雲以外はとても気持ちよくスカイクリアーな今夜。積乱雲がかかっていない台湾の海岸線がなんとも情緒的に漆黒の闇に浮き上がっている。

その灯り一つ一つに様々な人生が交錯している様子に思いを馳せるだけで空の旅は最高のエンターテイメントになる。
静かに佇む大陸や島、その上の生活の灯り、天候変化をもたらす雲、雷・・・その全てが演じ分ける自然のショウを眼下に見下ろしながらiPodから流れるColdplayの「Vila la Vida」が心地よい旅情を少しだけ心に与えてくれる。


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・・・再びウイングに付いた着陸灯のパッシングがおきて多くの水分を含んだ薄い雲を映し出す。
水分にライトの光が乱反射を起こし機外は不思議な明るさに包まれるが、ライトが消えたとたん窓の外は元の暗闇に戻る。それは、「窓の外をず〜っと見ているであろう湯葉兄(笑)」の為にRIUさんがコックピットでパッシング操作をしてくれていたと、到着後にわかったのだが。。。


到着地近くのエリアでは「RVSM(Reduce Vertical Separation Minimum)」が適用出来ないため、一時的にCRZ ALTである38,000ftから39,000ftへ上昇を命じられる。先行するJAL機は35,000ftに下ろされた模様。・・・しばらくして日本時間の24時18分、離陸から5時間9分後にTOD(Top Of Decent)を迎え、機体は空港に向け高度を落とし始める。

ついに往路の空の旅が終わろうとしている。毎分2,500ftの降下率を維持しながらディセント(降下)し、強い横風成分が混ざった地上付近をオートパイロットを使い最終進入してゆく。自動操縦の追従が怪しくなった500ft付近でオーパイを解除し、RIU氏の手動でランディング。

蟹の横歩きに似ている事からこう呼ばれる機首を風上に少し向けながら斜めに降りて行く『クラブ方式』の横風着陸操作。接地点が機内のスクリーンに大写しになる約30ft(地上10m程度)頃でフレア操作に入り機首をやや上向きにする事でシンクレイト(降下率)を緩やかにし接地のショックを和らげるのだが、今日はいつにも増して慎重なフレア?!・・・接地ショックはミニマムのまま接地し、その後斜めになっていた機首がタイヤのグリップにより直進方向へ戻って行くヨーイングを感じ、これまた弱めのスラストリバース(逆噴射)のまま減速Gを感じずに誘導路へ。

「監査フライトより緊張する客が後ろに乗ってた。」
とプレッシャーかけまくりの湯葉兄のせいでかなり接地ショックを弱めようとRIUさん渾身のランディング


ついに到着!


え?いい加減どこに行ったのか書けよって?


えぇ、まぁ。


今回はですね。










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湯葉兄 in 『Ho Chi Minh City』!


ベトナム編ですっ!!!!


(第2話につづく。)
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ANA好き

私もエコ飯、好きです。そしてANA好きです。

エコ飯の場合、毎回ベジタリアンミールをお願いしてます。ANAの場合、ベジタリアンミールも3種類あって、①インド系で乳製品OK、②乳製品・卵OK、③乳製品なし(完璧野菜だけ)。

②の乳製品入りのベジタリアンにしてみたら、これが正解で、乳製品はOKって設定なんで、サラダにはブルーチーズやハード系チーズが出てきて、メインは野菜のラザニアでした。チーズとパンでワインも進むし、おなかはもたれないし、満足でした。まぁ、メニューは変わると思うので当たり外れが当然あると思いますけど。

①のインド系をリクエストしたときは、予想はしてましたが、メインはカレーでした(笑) キャベツのカレーみたい。ナンもついてきて本格的。マンゴーのチャツネ、と、ディップみたいのがついてきて、それをナンにはさんで食べてみたりしておもしろい。しっかし、ものすごい香辛料!!むせそうになったりして。わたしの席だけインドの香りが漂ってました。ちょっとはずかしい?ヘルシーなわりに、香辛料のおかげで満足度は高かったです。

エコに乗るときは、しばらくは乳製品・卵OKのベジタリアンミールにしようかと思います。
by ANA好き (2008-11-03 12:32) 

Yuba

へぇぇ~。ベジタリアンミールのそんな活用法が。。。
なんだか①とか興味沸いちゃいますね!今度試して見ようかな♪なんとも貴重な情報を
ありがとうございますっ!この日記一応続きがあって(MIXIにはとっくにアップされてる)、
近々頑張ってアップしますので、是非見てやってくださいね~。

好き嫌い、ベジタリアンとか関係なく、こうやって選択肢を拡げてエコ飯を楽しむなんて
新発想で良いですわっ!!!

今後共どうぞよろしくお願いします~。
by Yuba (2008-11-10 23:43) 

ANA好き

そうなんですよ~。毎回、エコ飯なら、ベジで。
(ご存知とは思うのですが)ベジタリアンミールは
事前リクエストが必要なので、お忘れなく。
ネットでワンクリックで往復ベジ指定できたりするんで、
なかなか便利。そしてベジタリアンミールは真っ先に
出してもらえるんで(乗った便が毎回そうなだけかも)
さっさと食事できちゃうのもうれしかったり。
同じANA好き、飛行機好きなんでまた覗かせてもらいます!
by ANA好き (2008-11-11 18:50) 

Yuba

>ANA好きさん

SPL-Mealは別格納なのでおそらく1st priolityで処理されるのだと思います。
そんな美味しそうなメニューが出てくるなんて夢にも思わなかったので今まで気にと
めた事もなかったのですが、こういうtipsって旅を楽しくしますね!

最近は多忙で海外旅行出来ていないですが、今度行くときは是非リクエストして
みたいと思います!

飛行機ネタなどもちょこちょこアップしますので、是非また覗きに来て下さいねっ!
ANAネタもけーっこう出てくると思います(笑)。

このコンテンツもお勧めです~。↓
【シカゴ日記】
http://yuba.blog.so-net.ne.jp/2007-02-12
by Yuba (2008-11-18 17:24) 

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