SSブログ

【旅】Chicago-NYC 第2話「湯葉兄とファーストクラスとシカゴの夜」

■NARITA int’l airport spot57 11:10 26/Dec

ANA 12便(NH12便)は定刻直前でお馴染みの・・・

「All crew selector lever moves to automatic.」

のアナウンスで閉じられた客室ドアがロックされる。ロックと言っても実際は、
非常時にドアを開けた際、緊急脱出用のスライドが自動伸張するモードに変換された、という
説明の方が本当は正しい(え?そんなうんちく聞いてない?)。定刻である11:10にプッシュ
バックが始まり、右側のエンジンからスタートされ、本日の使用滑走路である「32L」へ
タキシング(地上移動)を始める。その間、ファーストクラス用のアメニティキットや雑誌
などが配られ、上空で着替えることが出来る作務衣やカーディガンも配布される。スルスル
スル・・・と滑走路に入り、離陸の合図となる四点鐘(ポーン、ポーン、ポーン、ポーン
って奴ね)が鳴る。CAさんの「離陸します」のアナウンスが終わるか終わらないかのタイミ
ングでスラストレバー(車でいうアクセル)が押し出されたのが、うっすら後方から聞こえて
来るジェットエンジンの高鳴りで感知出来る。直後、スラストレバーが離陸推力であるポジ
ションまでオートで進んだことが判る猛烈なジェット音が耳に入り、一気にNH12便、
Boeing777-300ERは猛烈な離陸滑走を始めた。10数秒の滑走のうち、200人程度を乗せた
300tを超えるトリトンブルーの機体は緩やかに地上を離れる。足(車輪)を格納し、少し
上昇を行った後、アメリカへ向け機体はライトブレイク(右旋回)をし、更に上昇を続けた。

しかし・・・ファーストキャビンはアホみたいに静かだ。後ろのビジネスクラス(Cキャビ
ン)に乗っている家族連れの子供の声がうっすら聞こえて来るが、機体最前部という事も
あり、ジェットエンジンのサウンドもほとんど聞こえない無音の空間。風を切る音、気流が
悪く揺れているので様々な機体内部の什器が擦れ合う音が耳に入る程度。大空の静寂の空間。
いつの間にか上昇に合わせ機内の与圧が調整され地上より低い気圧になるのと合わせるかの
様に、僕の意識も遠のいていった。

■Over the Pacific Ocean 33,000ft 12:50 26/Dec

頬にあたるまばゆいばかりの太陽の光と心地よい空調、そして時速800kmを超える速度で
移動するジェットノイズが遠くから意識の中に入って来て初めて気がついた。・・・離陸
直後から寝てしまっていた様だ。目を覚ますと、それを見つけたCAさんが機内食のメニュー
を持って来る。どうやら機は「1st Cruising Altitude」である33,000ftに到着した様だ。
これから北米大陸に向け、燃料の消費に合わせてステップアップ式に高度を上げ、今日は
どうやら37,000ftまで最終的には到達するらしい。


ファーストのメニューは写真の様に箱に入っている。中身はビジネスクラスで配られている
ものとあまり装丁は変わらない。とりあえずまだ疲れまくっているおいらは気付けにコーラ
を頼み、前菜を注文。ビジネスクラスより二廻り程度大きなテーブルにブルーのクロスが
敷かれ、ナイフ・フォーク類、調味料がセットされる。

◆ 前菜(白身だった気が・・・)

◆サラダ

◆ 主菜(名前は忘れたけどズワイ蟹)

◆ 主菜2(追加オーダーの白身魚のなんちゃら)

◆デザート


食後は日本で見逃した「プラダを着た悪魔」を鑑賞。大好きなNYCの景色と、アン・ハサウェ
イの着る綺麗な洋服がなんとも見応えあり。KT Tunstallの「Suddenly I See」も劇中で
良い味を出してしてイントロだけであの風景が蘇るよねぇ。・・・成田からシカゴまでの
直行便は約10時間のフライト。GPSでの位置情報を見る限り通常の北米航路より南側を
飛んでいる気がする。通常はNOPACルートだが、このフライトは混み合うNOPAC以外の
PACOTS方式を使っているのかな?さすがにこの辺は本職じゃないのでよーわからん。。。
見渡す限りの雲海を見下ろしながらB777は快調に時間を消化している。モカのコーヒーを
飲みつつ、現地の資料をなどを読み込みイメージを膨らませてみた。北米は自分自身の中の
パワーが減った時の充電に最適な環境。行き詰まる感覚を得ると必ず北米でゆっくりする
のが流儀。街に溢れるポジティブなパワーや、独特の乾燥した空気、資源豊富な国の町並み、
日本語が聞こえない環境の自分に取ってのなんとはなしの心地よさが心に染み渡る気がする。

【座席の風景・・・】
◆前後左右、自分の部屋の様にものを置いて、飲み物や食べ物も欲しいだけもらってくつろげる。


◆座席の調整は電動で好きな様に調整が可能。いつものビジネスの調整(下の写真)と比べて
も格段に調整幅が大きいのが分かると思う。
⇒FIRST CLASS

⇒BUSINESS CLASS

「貸切」なので自分の後ろの座席をフルフラットベッドにセットしておいてもらって、気が
向いたら寝に行くっちゅー豪華なキャビンの利用方法。隣の座席はアメニティやお菓子を
置く専用の座席にしてある(笑)。機内でPCから機体の飛行位置をさぐるGPSサービスに
接続し位置を探ると、どうやらそろそろアメリカ大陸に差し掛かる様だ。機体は最終的な
クルージング高度である37,000ftまで上昇し、機速も549kt(時速990km位)に加速して
いる。・・・後ろのビジネスクラスのキャビンライトがフルダウンとなり、機全体が就寝
モードになってからしばらくしてベッドへ移り仮眠を取る。(さすがにフルフラット+羽毛
布団なので爆睡出来、機上とは思えない程の快適な睡眠♪・・・ビジネスのフラットベッド
とも雲泥の差・・・)


起き上がり、これまた大好きなレーズン入り胡桃パンとフルーツ+紅茶での朝食を済ませる
頃、NH12便はシカゴ上空へ向けたディセント(降下)を開始し、着陸へ向けたアナウンスが
始まる。少し前には機内から北米の美しい夜明けを見る事が出来た。機上から見る夜明けは
何度見ても神秘的だ。何か見えない大きな力が自分自身の中に注入される様な気持ちになる
し、何よりそれを見ている瞬間だけそれを知ってる機内の乗客やクルー全員の気持ちが一つ
になっている気持ちになるのは俺だけだろうか。どんなに辛い事があっても、どんなに悔しい
事があっても、楽しいことがあっても・・・全ての人に平等に夜明けはやってくる。昨日の
記憶は昨日の記憶として過ぎ去り、また一日辛かろうが楽しかろうが新しい歴史が幕を開け
る。夜明けは一瞬だけ全ての感情を白紙に戻してくれる。その一瞬がどれほどかけがえの
ない物か、夜明けを見る度に思い出すのだが、人はそれをまた忘れて街へ帰ってゆくもの
なんだと思う。


いよいよ到着の時間が迫っている。・・・現地シカゴ・オヘア空港の航空気象を提供している
オンラインサービスからゲットすると以下の様なデータが返送されて来た。

METER:KORD 261151Z 33013KT 10SM SCT026 OVC035 00/M04 A2987 RMK AO2
SLP122 60000 T00001039 10006 20000 53006 $

予想通り気温はこの時期のシカゴより暖かく、風も極めて強い状態ではない。天気も良いが、
雲が多いので曇りの様だ。機体も29,000ft、時速448ktまで減速を始め、どんどん降下が続い
ている。・・・ミシガン湖をやや東向きに飛び越し始めた直後に非常に小さい半径で強い右旋
回を行い再度オヘア空港の方角へ。なかなか難しそうな高度処理を行いながらどんどん着陸へ
の秒読みが始まる。窓から見えるシカゴ市街の位置と飛行の方向を照らし合わせるとNH便の
使用頻度が最も高いと思われる「27L」の滑走路への着陸の様だ。

【おまけ 朝食の写真】


・・・数分後に少ない接地ショックと共にオヘア空港に着陸。現地時刻の7時22分、定刻より
18分早着により、約10時間に渡る空の旅に終止符を打つ。200名を越す乗客の先頭で降機
し、イミグレーションを通過、バゲージを受け取りロビーへ出る。あぁ、アメリカの空気だ。
心地よい甘〜い香りが周囲を包む薄暗く狭いロビーで一番最初に探す文字は・・・

「Foreign Exchange」

■CHICAGO O'Hare International Airport 8:05 26/Dec

疲労感満載の成田は既に記載済みだが、その疲労感が何を隠そう「外貨両替」をせず離陸する
という失態をおいらに科していた。つまり、ドル一銭も持たずにおいらは今ここ、シカゴ・
オヘア空港にいる。笑えるというか、おいおいコーラ一つ買えねぇのかよ?状態。猛烈に
レートの悪い両替に閉口しながらもなんとかドルを手に入れ、タクシーでシカゴ市街へ。
タクシーからの車窓はグレイに曇った空の奥にそびえ立つ摩天楼が遠く見える。ニューヨーク
も『JFK空港』からマンハッタンまでの道のりで少しづつ近づいて来る摩天楼に興奮を覚える
が、シカゴに似た様な雰囲気で街が近づいて来る。車窓から見える大きなビルボードに書かれ
た文字。

『Welcome to Chicago』

新しい街での一日が始まった。

(第3話につづく)


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。